「改めまして、一年の船瀬淳太です。まさか昨日来てくれたお二人と学校でお話するなんて……お見苦しいところを見られてしまいました……」
購買室でようやくパンを購入し、男子生徒――改め、船瀬くんを巻き込んで三人で食べることにした。屋上だと階段を上がるだけで時間がかかってしまうため、中庭のテーブルベンチを一つ占領する。
昨日に引き続き晴れているが、自称雨女の佐野さんは「ごはんを食べ終えた頃に降る気がする」と得意げに宣言した。
私と佐野さんの対面に座る船瀬くんは、顔の二倍の大きさの明太子フランスパンを口いっぱいに頬張りながら、昨日のことを興奮気味に話してくれる。零れかけたフラペチーノが空中で止まって戻る怪奇現象など、彼にとっても未知の体験だったらしい。
「僕も驚きました。まさかあんな角度で傾いたフラペチーノが戻るなんて、遠心力でも働いたとしか思えませんよ!」
「ねー、私たちも思わず手を伸ばしちゃったもん。でもさ、もうちょっと食べやすくなんないの?」
「と言われましても、僕が入ったのが最近ですし……こんな僕があんな素敵なカフェで働けるのもおこがましいといいますか……」
「そんなこと言わないの! また学校帰りに寄るからよろしくね」
「ぜ、善処します」
たどたどしくも和やかな雰囲気で繰り広げられる二人の会話。共通の話題があるとはいえ、初対面にしてはとても楽しそうに話している。……いや、これが普通なのかもしれない。どのタイミングで会話に入ればいいのか戸惑っている私は、完全に蚊帳の外だ。
購買室でようやくパンを購入し、男子生徒――改め、船瀬くんを巻き込んで三人で食べることにした。屋上だと階段を上がるだけで時間がかかってしまうため、中庭のテーブルベンチを一つ占領する。
昨日に引き続き晴れているが、自称雨女の佐野さんは「ごはんを食べ終えた頃に降る気がする」と得意げに宣言した。
私と佐野さんの対面に座る船瀬くんは、顔の二倍の大きさの明太子フランスパンを口いっぱいに頬張りながら、昨日のことを興奮気味に話してくれる。零れかけたフラペチーノが空中で止まって戻る怪奇現象など、彼にとっても未知の体験だったらしい。
「僕も驚きました。まさかあんな角度で傾いたフラペチーノが戻るなんて、遠心力でも働いたとしか思えませんよ!」
「ねー、私たちも思わず手を伸ばしちゃったもん。でもさ、もうちょっと食べやすくなんないの?」
「と言われましても、僕が入ったのが最近ですし……こんな僕があんな素敵なカフェで働けるのもおこがましいといいますか……」
「そんなこと言わないの! また学校帰りに寄るからよろしくね」
「ぜ、善処します」
たどたどしくも和やかな雰囲気で繰り広げられる二人の会話。共通の話題があるとはいえ、初対面にしてはとても楽しそうに話している。……いや、これが普通なのかもしれない。どのタイミングで会話に入ればいいのか戸惑っている私は、完全に蚊帳の外だ。