「なっない!」
「ど、どうしたの……?」
「ポケットに入れていたが無くなって……さっきまであったのに!」
「スマホ? もしかしてさっきの衝突で落としたのかも」
「どうしよう! まだ今月の使用料払ってないのに!」
「ちょ、ちょっと危ないから一度離れよう!」
あたふたし始めた彼を連れて購買室へ続く列から外れる。このままにしておけば、あの狭い場所で床を這いつくばるかもしれない。
「なにか目印ないの?」
「目印……ほ、星のシールが貼ってあります! 剥がれかかっているけど……」
「……もしかしてこれ?」
一緒に列から離れてくれた佐野さんが、彼に黒いカバーに剥がれかかった星のシールがついたスマホを差し出す。すると彼は目を輝かせて「ありがとうございます!」と大きな声で勢いよく頭を下げてきた。よく響いたその声で、購買室に並ぶ生徒や先生から注目を浴びることになってしまい、私も佐野さんも慌てて彼を止める。
そこでようやく、彼が船瀬くんだと気づくと、後ろで袴田くんがしてやったりと満足げな笑みを浮かべた。私はぶつけられた左肩を押さえながら、彼に向かって恨めしそうに睨みつけたが、完全にスルーされてしまった。
「ど、どうしたの……?」
「ポケットに入れていたが無くなって……さっきまであったのに!」
「スマホ? もしかしてさっきの衝突で落としたのかも」
「どうしよう! まだ今月の使用料払ってないのに!」
「ちょ、ちょっと危ないから一度離れよう!」
あたふたし始めた彼を連れて購買室へ続く列から外れる。このままにしておけば、あの狭い場所で床を這いつくばるかもしれない。
「なにか目印ないの?」
「目印……ほ、星のシールが貼ってあります! 剥がれかかっているけど……」
「……もしかしてこれ?」
一緒に列から離れてくれた佐野さんが、彼に黒いカバーに剥がれかかった星のシールがついたスマホを差し出す。すると彼は目を輝かせて「ありがとうございます!」と大きな声で勢いよく頭を下げてきた。よく響いたその声で、購買室に並ぶ生徒や先生から注目を浴びることになってしまい、私も佐野さんも慌てて彼を止める。
そこでようやく、彼が船瀬くんだと気づくと、後ろで袴田くんがしてやったりと満足げな笑みを浮かべた。私はぶつけられた左肩を押さえながら、彼に向かって恨めしそうに睨みつけたが、完全にスルーされてしまった。