ふと疑問が頭に過ぎると同時に、校舎に繋がる屋上の扉が大きな音を立てて開かれる。音に驚いて目を向ければ、担任と事務の先生、そして岸谷くんと吉川さんが息を切らして入ってきた。
「井浦! 大丈夫か!?」
「せ、先生……?」
「怪我はしてないか? 下からフェンスを引っ張っている手が見えたから、もしやと思ったが……井浦、よく頑張った!」
担任の先生は呼吸を整える暇もなく、駆け寄って心配してくれた。まともに話したことはなかったが、こんなに気にかけてくれる人だったんだと安堵して、ふいに涙がこぼれそうになった。
事務の先生が半壊したフェンスを見て驚き、電話をしながら状況を伝えている中、岸谷くんは黙って自分の着ていた上着を肩にかけてくれた。
すると、吉川さんが先生たちに言う。
「あ、あの、ここに来る途中で三年生とすれ違ったんですけど、すごく焦った顔をしていました。もしかしたらなにか知ってるかも……」
「なんだと? 話を聞く必要があるな。二人は井浦を保健室へ連れて行ってくれ。私たちでここの処理と、その生徒に話を聞いてくる。後で井浦にも話を聞くことになるが、それまでゆっくり休んでいなさい」
「……は、はい」
先生たちはそう指示を出すと、私たちを残して校舎に戻っていった。
よかった。ちゃんと届いていたんだ。
気が抜けて大きく息を吐くと、隣にいた袴田くんが私の頭に手を置いた。
『なんだ、意外に先生って使えるじゃん』
「物じゃないんだから そういうこと言わない!」
『俺が他校の奴に逆恨みで刺されそうになった時は話も聞いてくれなかったぞ』
「それは日頃の行いなのでは……」
不服そうな顔でこちらを見てくる。さっさと頭に置いた手をどけてくれ。
「……袴田?」
「井浦! 大丈夫か!?」
「せ、先生……?」
「怪我はしてないか? 下からフェンスを引っ張っている手が見えたから、もしやと思ったが……井浦、よく頑張った!」
担任の先生は呼吸を整える暇もなく、駆け寄って心配してくれた。まともに話したことはなかったが、こんなに気にかけてくれる人だったんだと安堵して、ふいに涙がこぼれそうになった。
事務の先生が半壊したフェンスを見て驚き、電話をしながら状況を伝えている中、岸谷くんは黙って自分の着ていた上着を肩にかけてくれた。
すると、吉川さんが先生たちに言う。
「あ、あの、ここに来る途中で三年生とすれ違ったんですけど、すごく焦った顔をしていました。もしかしたらなにか知ってるかも……」
「なんだと? 話を聞く必要があるな。二人は井浦を保健室へ連れて行ってくれ。私たちでここの処理と、その生徒に話を聞いてくる。後で井浦にも話を聞くことになるが、それまでゆっくり休んでいなさい」
「……は、はい」
先生たちはそう指示を出すと、私たちを残して校舎に戻っていった。
よかった。ちゃんと届いていたんだ。
気が抜けて大きく息を吐くと、隣にいた袴田くんが私の頭に手を置いた。
『なんだ、意外に先生って使えるじゃん』
「物じゃないんだから そういうこと言わない!」
『俺が他校の奴に逆恨みで刺されそうになった時は話も聞いてくれなかったぞ』
「それは日頃の行いなのでは……」
不服そうな顔でこちらを見てくる。さっさと頭に置いた手をどけてくれ。
「……袴田?」