「……どういうこと？」
「お前は知らねぇだろうから教えてやる。立てこもり事件を起こした、当時指名手配犯だった奴とコイツは共犯だったんだ。昔のよしみであのコンビニで待ち合わせして、自分が人質役をするつもりだったんだよ！」
「その証拠は？　入口に近い場所にいたからって理由じゃないでしょう？」
「俺は見たんだ！　立てこもり犯がその女に拘束するように言った時、耳打ちしていたのを！　あのナイフを投げたのだって最初から――明穂を狙ったんだ！　れっきとした犯罪だろ！」

　狐はまた鉄パイプを振り上げ、母親を示しながら続ける。彼の怒りは収まる様子はない。

「しかも犯人が元カレとか笑えねぇよな。お前らは人質のフリして捕まって、一緒に逃げるつもりで――」
「――もうやめて！」