銃声の音で目が覚めた。
夢ではなく、それが現実だと分かったのは、その直後に子供の泣き声が聞こえたからだ。飛び起きて車内を見渡すと、全身真っ黒な服装で、兎と狐のお面をつけた二人組の人物が乗り込んでいた。
兎のお面をつけた人物は、運転手に向けて拳銃らしきものを突きつけた。
「妙な真似はすんなよ。俺たちだって傷つけたいわけじゃないんだ」
「ヒッ……!」
体格と声からして、どちらも男性のようだ。離れていてよく聞こえないけど、行き先を指示しているらしい。
確かどのバスにも、万が一乗っ取られた際に外の掲示板に助けを求めるシステムがある。彼らはそれさえも操作する暇さえ与えさせてくれない。すべて計画されているようだ。すると、今度は狐のお面をつけた彼が、優先席にいる乗客を歪な形に曲がってしまった鉄パイプで脅し、後部座席へ移動するよう促した。
「後ろの席に座れ。前には来るな。さっさとしろ!」
狐のお面の彼がこちらに背を向けている間に、私は咄嗟に、スマホを岸谷くんにつなげると、向こうからの声が聞こえないくらい音量を下げて座席の隙間に押し込んだ。どこまで聞き取ってくれるかはわからないけど、メッセージを打ち込んでいる余裕はない。顔を上げると、後ろから恐ろしい殺気がした途端、鉄パイプが頬をかすめた。
「お前、今何をした?」
夢ではなく、それが現実だと分かったのは、その直後に子供の泣き声が聞こえたからだ。飛び起きて車内を見渡すと、全身真っ黒な服装で、兎と狐のお面をつけた二人組の人物が乗り込んでいた。
兎のお面をつけた人物は、運転手に向けて拳銃らしきものを突きつけた。
「妙な真似はすんなよ。俺たちだって傷つけたいわけじゃないんだ」
「ヒッ……!」
体格と声からして、どちらも男性のようだ。離れていてよく聞こえないけど、行き先を指示しているらしい。
確かどのバスにも、万が一乗っ取られた際に外の掲示板に助けを求めるシステムがある。彼らはそれさえも操作する暇さえ与えさせてくれない。すべて計画されているようだ。すると、今度は狐のお面をつけた彼が、優先席にいる乗客を歪な形に曲がってしまった鉄パイプで脅し、後部座席へ移動するよう促した。
「後ろの席に座れ。前には来るな。さっさとしろ!」
狐のお面の彼がこちらに背を向けている間に、私は咄嗟に、スマホを岸谷くんにつなげると、向こうからの声が聞こえないくらい音量を下げて座席の隙間に押し込んだ。どこまで聞き取ってくれるかはわからないけど、メッセージを打ち込んでいる余裕はない。顔を上げると、後ろから恐ろしい殺気がした途端、鉄パイプが頬をかすめた。
「お前、今何をした?」