追い込まれた高御堂は苦し紛れに南雲の不良たちに「警察に捕まっても金で何とかしてやる!」と言って暴れるように指示を出すと、狭いスペースでの喧嘩が始まった。私と船瀬くんは先に安全な場所へ避難したが、人数の差もあってあっという間に北峰が制圧してしまったようで、捕まえた不良たちと一緒に戻ってきた。そこへ町内会の巡回隊が警察を連れてやってきた。後の始末は警察が行うとして、私たちは校舎に入って怪我の手当と事情聴取を受けることになった。ボイスレコーダーには以前の岸谷くん失踪に関しても供述が入ってたため、証拠品として受理された。
しかし、計画を企てたであろう高御堂は、喧嘩の騒ぎに紛れて逃走。上手く隠れているのか、未だ見つかっていない。
「不安そうな顔すんなよ」
事情聴取を終えてひと段落した私は椅子で項垂れていると、岸谷くんがやってきた。
「船瀬、治療中のところも問題ないらしい。大きな怪我をした奴がいない。夏祭りにも支障はない」
「そう……よかった」
「それと、町内会の岩井のオッサンが落ちこんでたよ。『まさかあの息子が……』ってさ。なんでも、空き巣被害に遭ってから高御堂の息子から勧められて系列のセキュリティ会社と契約していたらしい。事が済んだら解約しようってボヤいてた」
「それは……気の毒に。でも会社自体が悪いわけじゃないし……」
「今はまだこの件は公になっていないが、息子が捕まれば会社へ印象は悪くなる。噂が誇張して広がれば、高御堂の評価も落ちるだろう」
そうだった。いくら会社で起きた不祥事ではないといえ、社長の身内が事件を起こせば、会社のイメージに繋がる。高御堂はそのことも踏まえて今までこんなことをしてきたのだろうか。
「社長さんは辞任を前提に警察に協力してる。……これ以上、アイツも自分の首を絞めなければいいけどな」
岸谷くんはそれだけボヤいて、町内会の人に呼ばれて行ってしまう。去り際の浮かない表情の彼に、なぜか嫌な予感がした。
しかし、計画を企てたであろう高御堂は、喧嘩の騒ぎに紛れて逃走。上手く隠れているのか、未だ見つかっていない。
「不安そうな顔すんなよ」
事情聴取を終えてひと段落した私は椅子で項垂れていると、岸谷くんがやってきた。
「船瀬、治療中のところも問題ないらしい。大きな怪我をした奴がいない。夏祭りにも支障はない」
「そう……よかった」
「それと、町内会の岩井のオッサンが落ちこんでたよ。『まさかあの息子が……』ってさ。なんでも、空き巣被害に遭ってから高御堂の息子から勧められて系列のセキュリティ会社と契約していたらしい。事が済んだら解約しようってボヤいてた」
「それは……気の毒に。でも会社自体が悪いわけじゃないし……」
「今はまだこの件は公になっていないが、息子が捕まれば会社へ印象は悪くなる。噂が誇張して広がれば、高御堂の評価も落ちるだろう」
そうだった。いくら会社で起きた不祥事ではないといえ、社長の身内が事件を起こせば、会社のイメージに繋がる。高御堂はそのことも踏まえて今までこんなことをしてきたのだろうか。
「社長さんは辞任を前提に警察に協力してる。……これ以上、アイツも自分の首を絞めなければいいけどな」
岸谷くんはそれだけボヤいて、町内会の人に呼ばれて行ってしまう。去り際の浮かない表情の彼に、なぜか嫌な予感がした。