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北峰の校舎裏は、いつかの船瀬くんが不法侵入してきた南雲の生徒と口論していたゴミ捨て場から近い場所にあった。あの件以来、フェンスの穴は塞がれて防犯カメラも設置されたけど、来る途中に確認したら導線が使い物にならなくなっていた。切り口からして刃物で意図的に切られたようだ。
「袴田くん、上から探してくれる?」
『は? お前、一人で探す気か?』
「私は大丈夫。スマートフォンもあるし、念のために持ってきたから」
私がスカートのポケットを軽く叩くと、袴田くんは『上等』と言って笑った。
「もし先に見つけたら、真っ先に岸谷くんに伝えて欲しい。声だけなら聞こえるんでしょう?」
『……わかった。でももし不審者を見つけても突っ込むな。岸谷を呼べ。そういうときの連絡先なんだからよ』
「わかってる。袴田くんも気をつけて!」
『誰に向かって言ってんだ』と後ろから鼻で嗤うように、袴田くんは真っ直ぐ上に昇って行った。
灯りの少ない中を慎重に進むと、すぐ近くでガハハと笑い声と、何かが振り落とされたような、風を切る音が聞こえてきた。
物陰からそっと様子を伺うと、先日絡んできた南雲の生徒が複数名と、彼らに羽交い絞めにされている船瀬くんがいた。彼の近くにいた南雲の一人が木製バッドを持って振り回している。完治していないのに、本当に醜悪な人たちだと反吐がでる。
早く岸谷くんに知らせないと。そう思ってスマホを取り出そうとポケットに触れると、後ろから伸びてきた手に掴まれてはばかられた。
「――なにしてるのかな?」
北峰の校舎裏は、いつかの船瀬くんが不法侵入してきた南雲の生徒と口論していたゴミ捨て場から近い場所にあった。あの件以来、フェンスの穴は塞がれて防犯カメラも設置されたけど、来る途中に確認したら導線が使い物にならなくなっていた。切り口からして刃物で意図的に切られたようだ。
「袴田くん、上から探してくれる?」
『は? お前、一人で探す気か?』
「私は大丈夫。スマートフォンもあるし、念のために持ってきたから」
私がスカートのポケットを軽く叩くと、袴田くんは『上等』と言って笑った。
「もし先に見つけたら、真っ先に岸谷くんに伝えて欲しい。声だけなら聞こえるんでしょう?」
『……わかった。でももし不審者を見つけても突っ込むな。岸谷を呼べ。そういうときの連絡先なんだからよ』
「わかってる。袴田くんも気をつけて!」
『誰に向かって言ってんだ』と後ろから鼻で嗤うように、袴田くんは真っ直ぐ上に昇って行った。
灯りの少ない中を慎重に進むと、すぐ近くでガハハと笑い声と、何かが振り落とされたような、風を切る音が聞こえてきた。
物陰からそっと様子を伺うと、先日絡んできた南雲の生徒が複数名と、彼らに羽交い絞めにされている船瀬くんがいた。彼の近くにいた南雲の一人が木製バッドを持って振り回している。完治していないのに、本当に醜悪な人たちだと反吐がでる。
早く岸谷くんに知らせないと。そう思ってスマホを取り出そうとポケットに触れると、後ろから伸びてきた手に掴まれてはばかられた。
「――なにしてるのかな?」