突然知らない声が聞こえたかと思えば、同時に甲高いブザー音が辺り一帯に鳴り響いた。耳を塞いでも聞こえてくるその音は、駅へ向かう通行人や店じまいを始めた商店街にも届いているようで、道を挟んだ向こう側の交番から警察官が走ってやってくるのが見えた。
「チッ……! おい、一旦引くぞ!」
南雲の生徒の一人が指示を出すと、他の仲間もつられて反対の方向に走って去っていく。彼らが見えなくなる頃にようやく警察官が到着すると、ブザー音は止んで静かになった。足を止めてこちらを見ていた通行人も、躊躇いながらも駅の方へ向かっていく。
一体何が起こったのか。佐野さんと美玖ちゃんは「ビ、ビックリしたー!」「急すぎて心臓止まったかと思った……」と胸を撫で下ろして警察官に背中を支えられている。私の隣にいた船瀬くんも、腰を抜かして路上に座り込んだ。私も出来れば同じように座りたかった。
すると、後ろから「大丈夫ですか?」と一人の男性に声をかけられた。
艶のあるマッシュカットの茶髪にキリッとした眉の爽やかな印象の彼は、立ち上がろうとする船瀬くんを支えてくれた。
「あ、ありがとうございます!」
「いえいえ、怪我は……なさそうだね。よかった」
「あ、あの……?」
「驚かせて悪かったね。君たちが囲まれていたのが見えて咄嗟に、ね」
そういって手に持っていた防犯ブザーを見せる。先程のブザー音はこれだったらしい。
「チッ……! おい、一旦引くぞ!」
南雲の生徒の一人が指示を出すと、他の仲間もつられて反対の方向に走って去っていく。彼らが見えなくなる頃にようやく警察官が到着すると、ブザー音は止んで静かになった。足を止めてこちらを見ていた通行人も、躊躇いながらも駅の方へ向かっていく。
一体何が起こったのか。佐野さんと美玖ちゃんは「ビ、ビックリしたー!」「急すぎて心臓止まったかと思った……」と胸を撫で下ろして警察官に背中を支えられている。私の隣にいた船瀬くんも、腰を抜かして路上に座り込んだ。私も出来れば同じように座りたかった。
すると、後ろから「大丈夫ですか?」と一人の男性に声をかけられた。
艶のあるマッシュカットの茶髪にキリッとした眉の爽やかな印象の彼は、立ち上がろうとする船瀬くんを支えてくれた。
「あ、ありがとうございます!」
「いえいえ、怪我は……なさそうだね。よかった」
「あ、あの……?」
「驚かせて悪かったね。君たちが囲まれていたのが見えて咄嗟に、ね」
そういって手に持っていた防犯ブザーを見せる。先程のブザー音はこれだったらしい。