その日の放課後、夏祭りのボランティアに参加することになった生徒が視聴覚室に集められた。
 思っていたより多くの人数が集まっており、席の半分が埋まっている。おそらく生徒会のノルマのおかげだろう。隣で佐野さんがむっと眉をひそめた。

「これ、生徒会が声かけるだけでよかったんじゃない……?」
「あはは……まぁ、人が多いことに越したことはないかと」

 教卓の前で打ち合わせをしている生徒会の中には、風紀委員長である岸谷くんの姿も見受けられる。 確か毎年町内会と風紀委員会が、校内の見回りに出て清掃や駐輪所の整理を行っていると聞いたことがある。そのまま喧嘩に突入することも少なくはないとも言うが、先日の南雲第一高校との事もあるから、警備は例年より厳重になるはずだ。
 全員が席に着いたのを確認すると、生徒会の役員が遠くの席まで届くようにマイクを使って説明を始めた。

≪えー……今回、夏祭りのボランティアについての説明ですが、今から配るプリントをそれぞれ確認していただいて、各ブースの責任者の指示に従ってください。中には町内会の皆さんと一緒に行う屋台もありますので――≫

 長々と続く役員の話に耳を傾けながら、前の席からまわってきたプリントに目を通す。タイムスケジュールと細かい注意事項が書かれており、その裏にはグラウンドと屋台が書かれた配置図が載っている。
 私は佐野さんと一緒にかき氷ブースでの販売担当だった。他にも一年生と町内会の人が一人ずつ加わることになっているらしい。