「颯、おはよう、泊まる用意してきたからずっと一緒にいようね」

「ああ、もっと早く凛と巡り会いたかったな」

「そうだね、でも今こうして一緒にいられるんだから……もしかして巡り会えなかったかもしれないし……」

「凛」




次の瞬間、颯は呼吸困難になり、ナースコールをした。

先生がやってきて処置を始めた。
薬を投与して、颯の症状は落ち着いた。

私はこの状況に戸惑いを隠せなかった。
手が小刻みに震えて止まらなかった。

それから五日後の朝早くに颯は旅立った。
私を一人残して……

祐くんとお祖母様に連絡をした。
私は祐くんの様子が心配だった、しかし颯の姿に祐くんは涙も溢さず、でも唇を噛み締めて、私の手を握り、肩を震わせていた。

私は空を見上げた。
颯、あなたと過ごした時間は私の宝物よ。ありがとう、颯。
私の愛する颯は空の彼方へ旅立った。

                          END