「凛、俺達やり直さないか」

廉の言葉に動揺してしまった。

「何言ってるの、私達十年前に終わってるでしょ」

「俺は後悔している、あの時なんで凛を手放したんだって」

「しょうがないよ、廉には婚約者が居たんだし、なんで結婚しなかったの?」

「凛を忘れる事が出来なかった」

「今更そんな事言われても遅いよ」

「今なら、俺のやる事に口を挟む奴はいない、だから結婚しよう、凛」

廉は私の腕を引き寄せ、抱きしめた。
その時私の視界に入って来たのは颯だった。
私は颯の姿を見つけ、車から降りた。
彼は目を逸らし、マンションへ入っていった。

「颯、待って」

私は必死に彼を追いかけた。
彼の腕を掴み、「颯、話を聞いて」と彼を振り向かせようとした。

彼は私の顔を見ようともせず、「手を離してくれ」と弱々しい声を出した。

「いや、今手を離したらもう二度と颯と会えなくなっちゃう」

「凛、あいつなら凛を幸せにしてくれる、一緒に年を重ねて生きていける、だから、あいつのところへ行け」