彼はじっと私を見つめた。そして……

「俺は凛を結婚相手として選んだ、俺にとって凛はすべてを満たしてくれると判断した、しかし、凛にとって俺は結婚相手として相応しくない」

どう言う事?彼は何を言いたいの?

「俺は凛を幸せに出来ない、でも俺は凛と結婚したい、残りの人生を一緒に過ごしたいんだ、これは俺のわがままだ、俺のわがままを押し通す事は許される事ではないが、この気持ちはもう止める事は出来ない」

そして彼は秘密を明かした。

「俺は末期がんに侵されている、余命宣告を受けた、俺の命はあと一年だ」

「冗談はやめてください」

「冗談でこんな事言えると思うか?」

私の全機能が停止したような錯覚に陥った。
彼があと一年でこの世から消えるなんて……

「凛、凛の気持ちが俺にない事はわかってる、一年だけで構わない、俺の側で俺だけ見てくれないか」

涙が溢れて頬を伝わった。
彼は驚きの表情で私の涙を拭ってくれた。

「凛……」

俺は大変な勘違いをしていたんじゃないのか。