ああ、嘘言っちゃった、彼なんて何年前の話?どうしよう。
とりあえずカラーやって貰ったらすぐ帰ろう。
私に会いたいなんて大和さんの考えは理解出来ないよ。
私みたいなおばさん相手にして、何が楽しいの?

火曜日、私は一睡も出来ずに朝を迎えた。
ドキドキする、また、キスされたら、まさかね、彼がいるって言ったんだから大丈夫だよね。
でも、ちょっと期待している自分がいる事に気づいた。

店に到着した。
また営業している様子が無い、火曜日は美容院休みなんだ、とんとご無沙汰の私は全く気づかなかった。

「いらっしゃい」

彼が出迎えてくれた。

「よろしくお願いします」

「ここに座って」

「無料だと気合入らないですね」

ちょっと憎まれ口を言って見た。

「いや、凛だから気合入りまくりだよ」

なんて返せばいいか戸惑った。

「結婚するの?」

「えっ?」

「彼と」

あっ、そうだ、私、彼がいる事になってるんだっけ。
まさかそんな質問くるとは想定外だった、答え用意してないよ。