「うるさいな。……まぁでも、当分恋愛はいいや」
「……」
あんたが次に好きになる人が、どんな子かはわからないけれど。
「じゃあ、それまでは私がお世話してあげるよ」
「バッカ、どう見ても俺がお前の世話してんだろーが」
「ははっ」
「ほんっとお前、生意気」
「えー?可愛いって?」
「言ってねぇよ!」
そう、あんたはそうやって私を馬鹿にして笑っててよ。
あんたが泣いてる姿なんて、もう見たくないから。
だから私は素直になれないまま、溢れ出しそうになる自分の気持ちを押し込めて、ギュッとキツく蓋をする。
「あー、お前とは真面目な会話できねぇわ」
「真面目な話とか、私達には似合わないでしょ」
「そうだな」
自宅に着いて、傘から抜ける。