聞きたくもないのに勝手に耳に入って来そうだったので、私は立ち上がって教室を出た。
どんな幽霊が出るのかは知らない。
出てくるくらいなのだから、きっとこの世に未練がたくさんあったんだと思う。
なのに、こんな風に面白おかしくネタにされているのがかわいそうだなと、幽霊に対して同情してしまった。


「おーい!早く撤収しろー!降って来るぞー!」

校舎の三階にある美術室からグラウンドを見ていたら、サッカー部の部員たちが急いで片づけを始めている。
どんよりと重たい灰色の空からは、ポツポツと雨が落ち始めていた。
今朝、出かける前に見た天気予報で、夕方から雨が激しくなると言っていたが、大当たりだったみたい。
ポツポツが段々、パタパタという音に変わり、そのうちザーッという叩きつけるような土砂降りへと変わった。