走ったせいで病院についた頃には汗が吹き出して服がぐっしょりと気持ち悪いほど濡れていたけどそんなことは今はどうでも良かった。病院につくと50代くらいの医者が一人で立って待っていた。
「香織はどこですか。」と医者に尋ねると医者は俯いたまま話し始める。
「これから言うことに落ち着いて聞いてください。結論から言いますと、お亡くなりになられました。沢田香織さんは横断歩道を渡っていた時に、信号無視した車にはねられてこちらとしても頑張りましたが…難しかったです。」
頭を鈍器でボコボコに殴られたような衝撃だった。香織が…死んだのか?そう思った瞬間、まだ死んだって信じていないのに勝手に涙がボロボロとこぼれ落ちた。
だってエキザカムに来た時も元気そうに『佑君が働いているところ見たくて。』とか言っていたじゃないか。
フラフラしながら医者の後をついて行くと真っ白な顔をしながら目を瞑っている香織がいた。
「香織、目を開けてよ。結婚しよって約束したばかりじゃん。」
話しかけても香織からの返事は無く、手を握っても握り返してくれるはずもなくただ冷たいだけの手で、死を受け入れろと神様から言われているようだった。
「お前さっき頑張ったけど難しかったって言ったな、そんなの俺に言った所で香織は戻ってこねーだろ。そんな事言うんだったら助けてくれよ。」
医者の肩を揺さぶって俺の勝手な感情をぶつけていた。
「すいませんでした。あと、こちらは沢田さんがお持ちになられていた物です。」
そう言ってカバンと潰れかけている白い箱を渡して医者は部屋を出ていった。
その箱を覗くと『佑君HappyBirthday』と書かれたチョコのプレートが俺の大好きなタルトケーキにのっていて涙が止まらなかった。
せっかく香織が買ってくれたケーキだったし家に持ち帰ることにした。病院を出て真夜中の道をヨロヨロとした足取りで歩いていると病院にいた香織の姿を思い出して泣きたくなった。
やっとの思いで家に着いてケーキを一口食べると、いつもだったら美味しいはずのケーキなのに今日は全く味を感じない。その代わりに香織と過ごした8年間の記憶が蘇ってきて苦しくなってそれ以上食べれなかった。
「香織、戻ってこいよ。お前がいないとこんなに美味しいケーキを食べたって苦しいだけなんだよ。」
言ったところで当たり前だけど香織からの返事は返ってくることは無い。
香織が死ぬんだったらもっと出掛けたかった、もっと笑い合いたかった、もっと一緒にいたかった、そんな事ばかり頭の中で思ったけど、言葉にできずただ俺の涙と共に嗚咽だけが静かな部屋に響き渡る。
こうして、俺の27歳の誕生日と俺と香織の未来の生活は香織の死という最悪な形で幕を閉じた。
「香織はどこですか。」と医者に尋ねると医者は俯いたまま話し始める。
「これから言うことに落ち着いて聞いてください。結論から言いますと、お亡くなりになられました。沢田香織さんは横断歩道を渡っていた時に、信号無視した車にはねられてこちらとしても頑張りましたが…難しかったです。」
頭を鈍器でボコボコに殴られたような衝撃だった。香織が…死んだのか?そう思った瞬間、まだ死んだって信じていないのに勝手に涙がボロボロとこぼれ落ちた。
だってエキザカムに来た時も元気そうに『佑君が働いているところ見たくて。』とか言っていたじゃないか。
フラフラしながら医者の後をついて行くと真っ白な顔をしながら目を瞑っている香織がいた。
「香織、目を開けてよ。結婚しよって約束したばかりじゃん。」
話しかけても香織からの返事は無く、手を握っても握り返してくれるはずもなくただ冷たいだけの手で、死を受け入れろと神様から言われているようだった。
「お前さっき頑張ったけど難しかったって言ったな、そんなの俺に言った所で香織は戻ってこねーだろ。そんな事言うんだったら助けてくれよ。」
医者の肩を揺さぶって俺の勝手な感情をぶつけていた。
「すいませんでした。あと、こちらは沢田さんがお持ちになられていた物です。」
そう言ってカバンと潰れかけている白い箱を渡して医者は部屋を出ていった。
その箱を覗くと『佑君HappyBirthday』と書かれたチョコのプレートが俺の大好きなタルトケーキにのっていて涙が止まらなかった。
せっかく香織が買ってくれたケーキだったし家に持ち帰ることにした。病院を出て真夜中の道をヨロヨロとした足取りで歩いていると病院にいた香織の姿を思い出して泣きたくなった。
やっとの思いで家に着いてケーキを一口食べると、いつもだったら美味しいはずのケーキなのに今日は全く味を感じない。その代わりに香織と過ごした8年間の記憶が蘇ってきて苦しくなってそれ以上食べれなかった。
「香織、戻ってこいよ。お前がいないとこんなに美味しいケーキを食べたって苦しいだけなんだよ。」
言ったところで当たり前だけど香織からの返事は返ってくることは無い。
香織が死ぬんだったらもっと出掛けたかった、もっと笑い合いたかった、もっと一緒にいたかった、そんな事ばかり頭の中で思ったけど、言葉にできずただ俺の涙と共に嗚咽だけが静かな部屋に響き渡る。
こうして、俺の27歳の誕生日と俺と香織の未来の生活は香織の死という最悪な形で幕を閉じた。