10年後。



私も千太郎も、26歳になった。


私達の関係は、今も幼馴染みのまま。


10年前のあの頃は気付かなかったけど、
恋愛は大波のような激しいものだけじゃなく、
凪のように穏やかなものもあるんだって。



一緒に居て安心する、とか、落ち着くとか。


それも、好きだという気持ちなのだと。


あの頃の私は、それを知らなかった。


それを知った時は、もう千太郎は他の誰かのものだった。