そのワンピースをプレゼント包装して貰い、
その紙袋を手に持つ。


その後も、ぶらぶらとそのモールを歩く。



「なぁ、観覧車乗らねぇか?」



零は、足を止めて、そのガラスの壁の向こうに見える、大きな観覧車を見ていた。


「でも、千太郎は高所恐怖症だから、
観覧車とか嫌いでしょ?」



千太郎は観覧車もそうだが、
高い場所を走るジェットコースターとかも嫌い。


自宅がマンションの三階なのは、
ギリギリ大丈夫みたいだけど。



「だから、俺は千太郎じゃねぇから」


そう言って笑うこの人は、
千太郎とは違い高い場所は大丈夫なのだろうか?



「いいよ。
乗ろう」


千太郎とは、きっとこの先一緒に観覧車に乗る事はないと思うから。



中身は千太郎ではないけど、
これが千太郎と一緒に観覧車に乗る最初で最後だろうな。