一体、どこに行くのだろうか、と口数の少ない零に連れられ思っていたが、
電車に乗り、都会に出ただけだった。


U駅。

この辺りに住む私達が電車に乗ってどっかで遊ぶ、っていうと、
みんな大体U駅で降りる。


遊ぶ所だけじゃなく会社も一杯あるU駅。


背の高い建物が所狭しと並ぶそんな大都会の街なのだけど、

20分程海の方へと歩くと、
大きなアウトレットモールがある。


「なんか食う?」

U駅を出てからずっと無言だった零が、急に口を開いた。



アウトレットの建物側面に、
フードコートのように飲食店が並んでいる。


嫌でも、それが視界に入る。


まだ夕方の17時だけど、
育ち盛りだからか、けっこうお腹が空いてる事に気付いた。



「なら、クレープがいい!」


そう言葉にすると、テンションが上がる。


クレープが食べれると。


地元の駅にはクレープ店がないので、
滅多に食べられないから。