◇
「よぉ」
翌日も、学校が終わり自宅の扉の鍵を開けていると、
零が現れた。
昨日と違い、その姿を見て、ドキンとしてしまった。
「今日もサボり?」
零は私服なのもそうだけど、
今の今迄寝てたような寝起きの顔をしていて。
「いや。
テストだから、とっくに終わってる。
明日もテストだから勉強しようと思ったんだけど、眠くて仕方ねぇ。
てか、机で寝ちまったんだけど」
そう言って、零は欠伸をしていて。
夕べ、あまり寝てないのかな?
「テストどうだった?」
千太郎は、とても勉強が出来た。
だから、私の通う公立高校よりもかなり学力の高い、
私立の男子校の高校へ通っていて。
その付属の有名大学に、そのまま進むのだろう。
「まずまず。
だって、俺、千太郎が勉強してたのもずっと見てるし、
脳だって共有してんだ。
同じくらい出来るに決まってんだろ。
ただ」
「ただ?」
「俺に代わった途端、あんだけ勉強する事に抵抗無かったはずなのに、
全然進まねぇ。
眠くて仕方ねぇし。
このまま俺と一緒に、千太郎も学力が落ちて行くのは間違いないな」
なるほど。
千太郎は勉強が好きだったけど、
零は勉強嫌いなんだな。
だから、このままだと零は勉強しないから、
成績が下がって行くだろう。
それは、千太郎の成績も下がるって事。
「ちょっと!
なんとかしなさいよ。
千太郎がこのまま付属の大学に行けなかったら、
あんたのせいよ!」
「だから、だ。
1つ提案がある」
「なに?」
「一緒に、勉強しないか?」