「お前さ、さっきずっと俺に見惚れてただろ?」



「え、そんなわけないじゃない」


本人にバレバレなくらいに、
私、そんなに見詰めていたんだ。


この人の事を。


「こんな人の居ない所に、ほいほい来やがって。
俺に襲われたら、どうする?」


「え、別に、この場所は子供の時からよく千太郎と…」



そう口にして、今、この人が千太郎じゃない事を思い出した。



「俺は、千太郎と同じようにずっとお前を見て来た。
千太郎がお前を見てドキドキすれば、
体を共有している俺も、同じように感じていた」


「えっと…その…」


零が私を見るその目が妙に熱っぽくて、
自分の鼓動が早くなるのが、分かる。


「そうやって、千太郎がお前ばっかり見てるから、
俺だってそうなるに決まってんだろ」



そう言って、零はこぼれ落ちるように、その言葉を口にした。




「俺も、ずっとお前が好きだった」




ずっと、っていつからなのだろうか?



千太郎の告白の時にも思った事を、
思う。


ただ、千太郎に告白された時とは違い、
今の私は、凄くドキドキとしていて。


きっと、これはときめいているってやつだ。




「―――んな、感じだ。
とりあえず、もう帰るか。
海も飽きてきたし」


零は立ち上がり、立たせるように私の腕を掴み、持ち上げる。


そうやって触れられて、またさらにドキドキとしてしまった。



「んな顔してたら、マジで襲うけど」


そう笑っている顔を見たら、冗談なのは分かるのだけど。


本当に、マジ辞めてってくらいに、
ドキドキとまたさせられてしまった。