「俺、ずっと万里ちゃんが好きだった!」


マリちゃん、とどこかのアイドルみたいに、私を呼ぶ千太郎。


私は千太郎の事を昔から千太郎って呼んでるけど、
千太郎は私を万里ちゃんってずっと呼ぶ。



「俺、子供の時からずっと万里ちゃんの事が好きなんだ」


昔、千太郎は自分の事を‘僕’って言っていたけど、
いつの頃か、それは‘俺’になって。


今年、高校一年生になる私達。


私はまだだけど、千太郎は3ヶ月前の4月に誕生日が来ていて、もう16歳になっている。


そんな、子供だけど子供じゃない、微妙な年齢の私達。


普通に、恋とかする年頃。


そう思うけど、目の前のこの人を、そんな風に思えない。



兄弟のように思ってるってやつなのかな?


もしくは、親友?


正直、そんな相手から、今、こうやって好きだとか言われて、私超焦ってる。


いやいや、嘘でしょって。


「千太郎、ごめん!」


私は手を合わせて、そう言う。


そう言った私に、千太郎はふられる事が分かっていたからか、
驚いた様子はない。