「別に暴力なんかで脅さねぇ」



そう言われて、安堵する。


もしかしたら、千太郎と違い、零は凄く強い可能性もないわけではない。


千太郎になら喧嘩で100勝てる自信はあるのだけど。




「千太郎がどうなってもいいのか?」



「えっ…」



それって、どういう意味?




「俺が死んだら…。
まぁ、死ぬは大袈裟にしろ、怪我したりしたら、俺である前にこれは千太郎の体だ。

それに、この体でなんか悪いことでもして捕まれば、
それは世間的に、千太郎が捕まるっつー事だ」



「な…にそれ…」



そんな脅し…。


「つまり、お前は俺に逆らえねぇって事だ。
千太郎が大事だろ?」


その言葉に、素直に頷く事はしないけど、
悔しくて唇を噛んだ。


絶対に、千太郎の体から零を追い出して、千太郎を取り戻す。



「決まりだな」


そう言って、零は再び自分の家に戻り、ヘルメットを二つ持って来た。



そして、付いて来い、と私を促す。