「どっかって、どこ?」
遊びに行く事を了承したわけじゃないけども。
「なんか、海見てぇなぁーって」
海?
その意外というか、斜め上の返答に戸惑う。
「ちょうど、バイクもあるし。
ちょっと飛ばして行かねぇ?」
えっ、バイク?
もしかして、一平兄ちゃんのあのバイクかな?
「でも、あなたってか、
千太郎も原付すら免許持ってないのに。
バイクとかあり得ないでしょ」
「あ?」
そう凄まれて、怯んでしまう。
「つーかよ、免許なんか警察に捕まらない限り、いらねぇだろ」
「いやいや」
「お前断る権利あると思ってんのかよ?」
「どういう意味?
暴力とかで脅すの?」
こう見えても、私は幼稚園の年中から小学三年生迄空手を習っていて、
辞めた今も、そこそこは強い。
ただ、千太郎も私と一緒に空手を始めていて、
今も続けているみたいだけど。
千太郎は私が知る限り、昔は全然ダメダメだった。
進級して行く私と違い、千太郎は全く進級出来ず、試合も初戦でいつも負けていた。
けど、今は千太郎ではなく、零。