「そういえば、昨日千太郎は万里にちゃんと告白した?」



朝一番、私が教室に入ると同時にそう訊いて来るのは、
親友の百恵(ももえ)。


「な、なんで知ってるの?!」


「ほら、私も千太郎と仲良いから。
千太郎が昔から万里の事好きなの知ってたの。
私は、千太郎の優秀なSなわけ」



S?

ああ、スパイって事か。

一瞬、変な事を想像してしまった。



私は百恵と話しながらも、
自分の机に腰を下ろした。


百恵はまだ空席の、私の横の男子の椅子を借りて、
私の横につけるように座る。


「百恵と千太郎が仲良いのは知ってるけど」



私と百恵は中学からの付き合いで、
一年と三年が同じクラスだったのだけど、
なんだかんだ中学三年間とても仲良しだった。


同じ女子バスケ部だったのもあって。


千太郎とは、私は三年の時だけ同じクラスだったけど、
百恵は、二年、三年と千太郎と同じクラスだったので、
三年生になる頃には、千太郎と百恵もけっこう仲が良かった。


千太郎は、ふにゃあって感じの可愛い癒し系キャラだからか、
男子だけじゃなく、女子の友達も多く。


昔から千太郎はそんな感じだから、
小学生の男女で仲良くが、微妙に恥ずかしさが混じるような時期でも、


彼はそれを感じさせなくて。


私だけじゃなく、他の女の子達もそうなのか、
昔から千太郎の周りは男女問わず、
友達が沢山。