それからというものの僕と彼女は、初めて会った餃子専門店で何度となく言葉を交わしたし、お互いのお酒を呑みあったりしていた。やっぱりその度、僕の胸はなんだかこそばゆい感じがしていたのだけれど、その正体が“恋”だということに気づくのには然程時間はかからなかった。



「ちょっと、外でも歩かない?」


いつものように約束をするわけでもなく立ち寄り、餃子専門店で彼女と楽しく呑み交わしたある日、彼女は突然そう言って立ち上がった。

僕は頷いて立ち上がり、少しだけ先を歩く彼女の後ろ姿を追いかけるように夜道を歩き出す。


風を浴びるように、両手を広げながら夜の空気を吸い込む彼女。月夜に照らされる彼女のそんな姿は、美しいとすら感じるほどで、なかなか目が離せなかった。

でも時々、そんな風にして目が離せなくなっている僕のことを振り返って確認し、にっと口角を上げて子供のように笑う。そういう彼女の飾らないところも僕はたまらなく好きだ。彼女が笑う度、僕はそう感じる。