昼でも暗い庭に比して、店内はとても明るい。
 採光に気を配った造りで、南側は全面木枠のガラス戸になっていたし、明かり取りの天窓もあった。
 天井は高く梁がむき出しで、床は板張り。
 楽器の音が柔らかく響くとミュージシャンに好評で、安いギャラでも文句を言わずに出演してくれたそうだ。
 でもこれは父の言っていたことだから、あてにはならないけれど。
 中央に10人掛けの大きなテーブルが1卓。存在感を放って鎮座していた。
 その他に4人掛けが2卓、それにカウンターが6席。

 セッションのときを除いて、普段訪れるのはほぼ100%、近所の常連さん。
 午前中に行くと、年配の男性がコーヒーを飲みながら新聞に目を通す姿がよく見られたけれど、学校帰りの時間にお客さんがいることはまれだった。

 そのころはわたしも、高校生になっていたので、さすがにお化け屋敷とは思わず、そのレトロな味わいを楽しむぐらいには成長していた。