そんなある日、汐里に呼ばれて、俺らは初めて出逢った海に来ている。
俺は嫌な予感がした。
けど、俺からは何も言わない。
だって、汐里が話したいって言うから…。
しばらく2人で海を眺めていたんだが、汐里は遂に口を開いた。
「貴方には悪いと思ってるの…けどね、この想いはやっぱり貴方じゃない、別の彼に向いてるんだって気づいてしまったの…ごめんね、勝手で…私と別れてください」と汐里は泣きながら言う。
そんな言い方されたら、何も言えないじゃないか…
お前ってほんと、ズルいよな。
ありがとう、さようなら、ってアイツは俺に背を向けて行ってしまった。
『…いかないでくれ…』と、止めることは出来なかった。
もう、俺に向けられた愛は無いのだと悟って。
溢れ出る涙を何度も何度も拭きながら、車にもたれかかる俺がいる。
「くそっ!…俺ってこんなに泣き虫だったかよ!?こんなんじゃ、帰れやしねぇ」って空に向かって独り言を言ってみた。
俺はとりあえず、車の中に戻り運転席に座った。
止めどなく溢れ出る涙は俺のジーパンを濡らした。
「幸せになれよな!なんなかったらぶっとばすからな!」
車内に響く虚しい俺の声…
聞こえるはずのない、届くはずもない2人へのメッセージだった。
俺は車のシートを倒して、オープンカーの天井を開け、空を見上げた。
そこには満天の星空が俺を優しく包んでくれた。
気づけば外は星が見えるくらい真っ暗になっていたのだ。
溢れ出る涙は、顎を伝い、今度はシャツまでをも濡らした。
どのくらい時間(トキ)が過ぎたんだろう。
当たりは日の光で明るみを帯始めていた。
まさか、俺…こんなところで朝まで泣き明かしたのか?
と思うと、少し笑えてきた。
涙は枯れ果て、腫れ上がる瞼…ルームミラー越しに見ると、俺はかなりのマヌケ面だった。
そんなマヌケ面に、思わず笑みも溢れる。
そして、「よっし!帰ろう」と気持ちを切り替えて、
「…元気でな…幸せに…」と独り言を呟きながらも、俺は笑みをこぼした。
ハンドルに手をかけ、クラッチを踏み、鍵を回して、幌を開け、窓を開けて、肘を置く。
ふわぁっとした外気が優しく俺を包んだ。
そして、タバコをくわえ、火をつけ、俺はゆっくり車を出した。
愛したアイツの幸せを誰よりも願いながら。
END
俺は嫌な予感がした。
けど、俺からは何も言わない。
だって、汐里が話したいって言うから…。
しばらく2人で海を眺めていたんだが、汐里は遂に口を開いた。
「貴方には悪いと思ってるの…けどね、この想いはやっぱり貴方じゃない、別の彼に向いてるんだって気づいてしまったの…ごめんね、勝手で…私と別れてください」と汐里は泣きながら言う。
そんな言い方されたら、何も言えないじゃないか…
お前ってほんと、ズルいよな。
ありがとう、さようなら、ってアイツは俺に背を向けて行ってしまった。
『…いかないでくれ…』と、止めることは出来なかった。
もう、俺に向けられた愛は無いのだと悟って。
溢れ出る涙を何度も何度も拭きながら、車にもたれかかる俺がいる。
「くそっ!…俺ってこんなに泣き虫だったかよ!?こんなんじゃ、帰れやしねぇ」って空に向かって独り言を言ってみた。
俺はとりあえず、車の中に戻り運転席に座った。
止めどなく溢れ出る涙は俺のジーパンを濡らした。
「幸せになれよな!なんなかったらぶっとばすからな!」
車内に響く虚しい俺の声…
聞こえるはずのない、届くはずもない2人へのメッセージだった。
俺は車のシートを倒して、オープンカーの天井を開け、空を見上げた。
そこには満天の星空が俺を優しく包んでくれた。
気づけば外は星が見えるくらい真っ暗になっていたのだ。
溢れ出る涙は、顎を伝い、今度はシャツまでをも濡らした。
どのくらい時間(トキ)が過ぎたんだろう。
当たりは日の光で明るみを帯始めていた。
まさか、俺…こんなところで朝まで泣き明かしたのか?
と思うと、少し笑えてきた。
涙は枯れ果て、腫れ上がる瞼…ルームミラー越しに見ると、俺はかなりのマヌケ面だった。
そんなマヌケ面に、思わず笑みも溢れる。
そして、「よっし!帰ろう」と気持ちを切り替えて、
「…元気でな…幸せに…」と独り言を呟きながらも、俺は笑みをこぼした。
ハンドルに手をかけ、クラッチを踏み、鍵を回して、幌を開け、窓を開けて、肘を置く。
ふわぁっとした外気が優しく俺を包んだ。
そして、タバコをくわえ、火をつけ、俺はゆっくり車を出した。
愛したアイツの幸せを誰よりも願いながら。
END