五日後、久しぶりにわたしは学校へ行った。足はまだ完治していなくて、歩くのはつらかったから、学校まで思いきってバスに乗った。
 ちょっとドキドキしたけど、なんとか学校前のバス停で降りることができて、ホッとする。

 教室で補習を受ける前、ミニひまわりの鉢植えを抱えて、保健室に行った。

「鴨ちゃん先生!」
「あら、水原さん、久しぶり」

 今日も鴨ちゃん先生は、にっこり笑顔を見せてくれる。

「もう捻挫したとこ、大丈夫なの?」
「えへ、なんとか。ご心配おかけしました」

 わたしは苦笑いしてから、「ところで!」と叫ぶ。

「今日は鴨ちゃん先生にプレゼントを持ってきました!」

 わたしは「じゃじゃーん!」と効果音をつけ、後ろに隠していたひまわりの鉢植えを差しだす。

「先生にはいっぱいお世話になったからさ。お花のプレゼント!」

 先生はわたしの前で呆然としている。

「せんせ?」
「え、ああ、水原さんの育てていたお花って、ひまわりだったんだね?」
「うん、そう。これミニひまわりっていって、普通のひまわりより小さくて、かわいいでしょ?」

 先生に鉢を差しだすと、それを受け取った先生が目を伏せた。

「外で元気に伸びているひまわりも好きなんだけどさ、中学のとき、顧問の先生の机にこの花が置いてあったのを見て……それでわたし、こっちもいいなって」
「そう……」
「わたし、これからあんまり保健室に来れなくなっちゃうかもしれないけど……毎日これ見て、わたしのこと思い出してね? せんせ」

 そっと目を開けた先生が、黄色いひまわりを見つめて微笑む。

「ありがとう。水原さん」

 わたしは鴨ちゃん先生の顔を見る。