6月の日本はじめじめした雨が降り続いていた。
あたりまえのように4日間雨は降り続けるし、急に止んだと思って傘を持っていかなければ帰るころには降っている。



湿度は最悪で匂いが教室にこもるし、どこにいってもこのべたつく空気の肌触りは取れない。
この不安定な気候に振り回される一か月弱が俺は死ぬほど嫌いだった。



それがなんだ、昨日までの不安定な天気がまるで全部嘘だったかのように晴れている。

意味わからないくらい太陽が熱を地上に届けて、冷房が7月にならないとつかないこの教室はまさに最悪の状態だ。


扇型筆《ファン》を左手に持って、右手で適当に作った5種類くらいの青を適当な感覚でべたべたと塗り付けている。
物心のついたころからじいちゃんの部屋にあったたくさんのデッサンを見たときから、俺のよくわからない美術への興味と感性は育ち、この見た目でありながら美術室に篭る毎日を続けている。


美術センスなんてものは人の感じるそのままだから、上手いとか下手じゃなくて、あー、なんかいいじゃん、これ。くらいの感覚で完成させていいものだと思っている。


テキトーに、何にも考えずに、ぼけーっと筆を動かしているだけで一日が終わるなら、それは別に苦ではないと思っているのだ。