「──これ、今日のおまけ」
「え、」
「店長には内緒、俺がつくったやつ」
カフェラテと一緒にトレイに乗せられたサンドイッチ。
先輩がつくってくれるまかないは、ほかの人のより少し豪華で、先輩は口に人差し指を当てて、口角をあげた。
「朱莉ちゃん、チーズ好きでしょ?」
「…っ、よく見てますね、」
「結構かぶってるんだからわかるよ」
賄いは基本店長がつくってくれるけれど、毎週木曜日だけは、先輩がつくってくれる。
ほかの日に店長に何がいいって聞かれたら、絶対にチーズを選ぶのはわたしだ。
「カフェラテには砂糖ふたつでしょ」
「そうです」
「それ以上カフェラテを甘くしてどうすんだよ」
ケラケラと笑って、わたしの目の前にトレイが置かれる。
カフェラテの右横に、角砂糖がふたつはいった小鉢が乗せられていた。
「…カフェラテでも、苦いもんは苦いです」
「コーヒー飲めなくて、よくこの店で働こうと思ったよね」
コーヒーがおいしいって、地元のお客さんには有名なこのお店の、カフェラテだってもちろんおいしい。
それがおいしいのはわかるけど、私にはどうしても無糖のカフェラテが受け付けられない。