ごめんね、

そう言わないのは、先輩の悪いところ。
ごめん、無理だからって、キッパリ振ってくれればいいんだ。



そうすれば、簡単にあきらめがつくのに。




「…でもわたしは、それ以上にずっと先輩のこと好きでいます、」

「…っ、」

「だからまた、バイクに乗せてください」




そう言って、先輩から一歩離れた。

先輩は何も言わずに、うつむいた。




「…今日は、ありがとうございました」


何も言わない先輩からまた一歩離れて、そのまま背を向けた。

は、っと息を吐きだせばそれは白くて、寒くて、笑えた。





「…ッ、」


先輩は、これからもわたしのことを見てはくれない。

何も言わない先輩が、その答えだと思った。



頬を濡らす涙は、風にあたってどんどん冷たくなって、余計に寒い。

諦めなきゃ、ダメかな。


もういい加減に、先輩のこと好きでいるの、やめなきゃダメなのかな。




「朱莉ちゃん!」