落ち着いた店内。
駅が近くにあるわけでもないこのカフェは、平日の昼間はお客さんも多くなくて、いつもと同じ常連さんがサンドイッチを食べていたり、ドリンクを飲みながらパソコンをにらめっこしたり。
12時を知らせる時計の音が鳴って、レジにいる私に店長が声をかけた。
「鈴本、休憩行ってきな」
「はい、」
今日は大学の全休の日で、一日なにもない私は毎週朝から夕方まで、バイトをしている。
自転車で10分の距離、もうここで働き始めて2年は経つだろう。
暇すぎて豆の在庫確認とかシロップの補充とか、眠たくなる仕事ばかりやっていて、わたしは片手で押さえてあくびをこぼした。
「あれ、朱莉ちゃん休憩?」
「あ、はい」
バックルームの扉を開けると、テーブルでスマホをいじっていた顔がわたしのほうを向いた。
相変わらずこのお店に合う顔をしている。
カフェ店員ぽい顔していますね、そう言えば、それって褒めてるの?って言われたことを思い出した。
かっこいいって言ったら、絶対に調子乗るんだもん。