「みやー」
「なに?」
「俺はいつミヤのライブに招待してもらえるの?」
ビールが好きじゃない私のために買ってくるアルコールの度数が高い日は、リキはいつもよりも落ち込んでいる日だと気付いたのはいつだろうか。
わたしを酔わせて、自分も気持ちよくなって、ふたりでぐだぐだと、なんにもしないまま、朝を迎えるのだ。
自分がどうしようもない男だって言うことをわかっているから、本当は二番目から抜け出したくて、でも結局抜け出せなくて、やるせなくて。
でもね、わたしの今も、二番目の女、の気分だ。
「リキが二番目じゃなくなったら」
「うわ、一生呼ばれなそう」
「諦めてるからダメなんでしょ」
9%のレモンサワーは苦くておいしくない。
でもこれがリキの感じている苦さとおんなじなのなら、それでもいいと思った。
「だって俺、すずのこと一生あきらめきれない気がするし」
まっすぐな恋ほど一方通行のままなのだ。
リキが向けているまっすぐな恋の先で、幼馴染のすずちゃんはまた、別の人にまっすぐな矢印を向けている。
諦める必要はないのに、リキは叶わない未来のことしか想像していない。
だからダメなのだ、もっと自分から、彼女の前で思いをぶつければいい。
なんて、そんなことできないのは自分が一番よくわかっていた。