どうしようもないこの気持ちの行き場を、はやくどこかに葬りたい。
赤い糸が結ばれないのなら、最初からつくらないでほしい。
瞼を閉じる。
きみのいなくなった部屋で、ギターにもう一度手を伸ばした。
きみがいないと唄わなくなった、この唄を、どうしようもないあの子に聴いてほしかった。
自分で作ったものなのに、指ではじくギターの音色は、あのへたくそな鼻唄を思い出させる。
気持ちよさそうにうたうから、全然幸せじゃないこのうたのことを、どうしてか好きになってしまいそうだった。
ねえ、きみにも、あの子にも、届いていますか。
ギターをかき鳴らす、誰にでもない自分のためにうたっている。
この曲は、まぎれもない自分を唄ったんだ。
それだけじゃない、きみにも、あの子にも、届けばいいと思って作ったのだ。
私たちだけじゃない、赤い矢印で苦しんでいる誰かがこの曲を聴いて、
世界のどこかで、今日も誰かが、この唄を聴いて泣いている。
ライブで唄えば泣いている女の子が目に入る。
一つ一つ紡ぐ言葉に、こらえきれなくて自分で泣きそうになる。
だからきみのことはまだ呼べない。