あの後、莉斗と別れた後取り敢えず家に帰った。
一応消えない方法を調べ、探し、考える為に。
この世に私がいる価値が無いのはわかってる。
でも、私は莉斗と一緒に笑い合う未来がある可能性を見つけて見たい。

私は、簡単な荷物(スマホ・充電器・財布・上着・替えの服を1着・個人情報等)を持ち、旅に出た。
幸いお金には困っていなかった為、好きなだけ旅をする時とお金はあった。

        ✻     ✻     ✻

まずは、バスに乗り、新幹線に乗った。
私の目的地は石川県。今は亡き祖母の家がある場所だ。
祖母は物知りで、家に大量の、それこそ本だけで家が出来るのではないかと言う位の本がある。
親が捨てていたら大変だけれども、あの量は面倒くさくてほっといていそうだから。

私は新幹線で眠りについた。

石川県金沢市についた時には昼だった空は闇に飲まれた様に真っ暗だった。

ここから祖母の家までは歩いて30〜40分程かかる。
結構な山奥にあるからだ。
既に21時を回っている。ここから祖母の家へ行くのは少々、いや…だいぶ危ないけれど、宿に泊まろうとも思わない。

祖母の家が埃っぽく無い事を願いながら、私は足を前へ進めた。

        ✻    ✻    ✻

思ったより時間がかかり、着いた時には22時半近かった。
金沢市の駅の方等は明るくわからなかったが、少し上を見上げれば宝石の様に輝く星が1面に広がっており、闇夜によく映えていた。

星は、凄いと思う。
何光年も遠い場所からの輝きが見えているから。実際は今、現在見えている星があるか知る術は無いが。
人間と比べてしまうと星が偉大過ぎて、人間なんてちっぽけな物だと思ってしまう。
今、現在、星が私達に見える所に移動している間に私達は何回死んでいるんだろう。絶対に10回は死んでいるであろう。

祖母の家に久し振りに入ると、少し埃っぽいもののマスクを2重にして、最低限掃除すれば暮らせる程には汚くは無かった。
特に変な香りもせず、カビもそこまでない。
虫は……まぁ外にはいるけど中にはいない。
意外と清潔感があって家の外装は近代的だ。
なぜだろうか。建てられたのは130年前とかそこらへんであるのに。

祖母は、魔法使いだと言われていた。
知識量から技量、言動、動作から言われていた。

……私の瞳や銀髪も祖母譲りで、祖母のかけた呪いとまで言われた事もある。

私が言われる分には構わないが、祖母の事は言われたくなかったのが本音だ。
全てに耳を傾けず、目をそらしてきた私が言える事では無いが。

本当に祖母が魔法使いだったのかはわからないが、魔法使いでもおかしくは無いと私は思う。
私は祖母が大好きでずっと一緒にいた。
一緒にいた時も含めて、祖母は魔法使いでもおかしくは無い。

根拠なんてないけれど。私はいつも思っていた。