花の誓いを永遠に___。

✻華✻
  
  スカビオサが
      綺麗に咲いた日



       ✻    ✼    ✻

それは、ある晴天の日。

俺は、深月に呼び出された。
呼び出されたと言ってもみんなで遊ぼうというお誘いだった。
いつものメンバー(結香・深月・莉斗)だと思い、何して遊ぶのかなぁなんて思いながら、この花畑に来る前にある公園へ向かっていた。
花畑の前にある公園でいつも俺たちは遊んでいる。

ついたは良いが、集合場所の公園には深月しかいなかった。

「待たせてごめん!深月だけ?結香は?」

「大丈夫だよぉ〜。結香はぁ今日ぉ来ないのぉ。」

その一言に俺の気分は沈んだ。
何故なら俺は結香が好きだからだ。

「えっとねぇ……今日ぉ、莉斗君をぉ呼んだぁ理由はぁねぇ。」

頬を赤く染めながら言う深月。

「莉斗君がぁ、好きだからですっ!付き合ってぇ下さいっ。」

照れながらも一生懸命に俺に告白する深月。
でも俺は、ぶりっ子していて気持ち悪いと思った。
いつもはタメで、少しぶりっ子する位だから、何も思わなかった。

でも、今回は気持ち悪いと思った。何故だろうか。

「ありがとう。でも、俺は深月を"友達"として好きだから。」

友達を強調して言うと、俺は颯爽とその場を去った。

彼女は、大粒の涙を流していたが、別になんとも思わず、頭の中は結香の事で埋まっていた。

その日から結香は生気を無くし、深月は何故か吹っ切れた様に元気に明るくなり"枯れたスカビオサ"を持ち歩いた。

結香は日に日に痣が増えていった。そんな結香を俺は心配する事しか出来なかった。


そんな日が続いていたある日。

深月が俺達の目の前で車に轢かれた。

結香はショックで倒れ、この地から離れた。


そして俺は、この時にもう1つの世界(・・・・・・・)に入り込んだ。
普通なら混乱すると思うが、何故か俺はすぐに理解ができた。

そこには、深月が目の前で自殺をしていた。


        ✻    ✻    ✻

これが俺に起きた事。

結香がこの地を去ってから、俺は結香の事しか考えられなくなった。
嫌……考えたく無かった。
深月の事を考えたって深月は帰って来ない。
だったら別に結香の事を考えたって良いだろ。

その後、もう1つの世界にはいつでも干渉や入る事が出来る様になった。

こんな不思議な能力は俺と結香ぐらいだろうし。
誰にもこの事は告白しなかった。
告白したところで、信じてなんてくれないと思うし。

この世界が完全に色褪せる寸前に、君は俺の前へ舞い降りて来た。

君は何回も俺を助けてくれる。
ずっと伝えられなかったけど、いつもありがとう。

「他に聴きたいことはある?」

「……いいえ。」

儚く微笑む君は美しい。
だから、悲しい顔をしないで。微笑んでいて。

きっとこの話をすぐに受け入れる事は出来ないと思う。けれどずっと応援してる。
俺は、今までも、今からも、キミの事が好き。

また俺の前から消えないでね?
『約束という名の誓いを立てよう。』
四つ葉のクローバーの育ち方


莉斗から聴かされた出来事は衝撃的でどこか現実味の無い話だった。
そんな話をすぐに理解し受け入れる事は容易い物では無い。
だけれど、今までの事やすれ違いそれを考えれば筋は通るし、私の知っている世界なんてたかが知れている。
そう思うと、簡単に理解する事が出来た。

「教えてくれてありがとう。」

「ううん。役にたったなら。」

とても役にはたったと思う。
でも、この言い方は余り好ましく無い。
この言い方だと私の為ならなんでもするみたいな意味になるし、仕事関係みたいな関係になる。
他の人がそう思わなくても私はそう思う。

「私も少し昔話をしようと思う。聴いてくれる?姉の」

「もちろん。」

        ✻    ✻    ✻       


「かわいい。」

「お人形さんみたい!」

「オッドアイって珍しいよね。綺麗だなぁ。」

私の優しい頃の姉。
私達は一卵性の双子な筈なのに似ていなくて、姉は虐げられていた。

「一卵性なのにどうして姉の方は醜いの!?」

良く姉に言われていた言葉。
姉だって十分可愛いかった。
なのに私は姉に甘えていて姉の状況や気持ちを考えていなかった。
だから私は気づかなかったんだ。姉の気持ちの小さな変化に。

姉は私が気づかない間に裏で有りも無い事を吹き込んでいた。
そのせいで虐げられる標的は私に変わった。

「この家族にこんな可愛い子が産まれる筈が無い。呪い子だ。」

「よく見たら可愛くなんて無い。ブスだ。」

「そのオッドアイ、気味が悪い。」

最初の内は言葉の暴力だけだったけれど、時がたつに連れて視覚への暴力が増えていき、元々体の弱い私は何度か倒れてしまった。
だが、病院なんて連れて行ってくれる訳も無く"暴力"によって目覚めさせられた。

姉は親にも周りにも褒められ、甘やかされた。
段々と昔の姉は面影すら無くなった行った。
それでも私は姉の事を嫌いにはなれず、挙げ句の果てには憐れんでもいた。
その事が姉の気に触ったのかもっと虐待は酷くなった。
きっとこの時莉斗に振られた時期だったと思う。だからイライラしていたストレスも私に来た。

なぜか莉斗に会う時だけ私が連れられた。
多分引き立て役としてついていかされた。
莉斗に会う時だけ姉は可愛くあろうと努力していた。
その面を見る度に、昔の姉は全て消えてしまった訳では無いんだな。って思っていたけど、私に優しい姉はもういないんだな。と再確認した。

その後すぐに姉は私の前で自殺をした。
衝撃的過ぎて忘れる事は出来なかった。
何をしても、寝れば夢に今起きている様に蘇り、寝る事なんて不可能で、ずっとずっと体調が悪い日が続いていた。

そんな時、親の転勤が決まりこの地を去った。

この地には私の支えとなっていた莉斗がいる。
でも……この地をされば姉との思い出がなくなる。
そうなれば私は、浅いかもしれないが仮眠位は取れるかも知れない。

そんなこんな色々な事を考えていたが、私に選択肢など無かった。
全ては親の一存で、私の意見など通る筈も無く、私は別れの言葉も言えずにこの地を去った。

結果的に私が莉斗を見捨てた。という事になったが私は莉斗の事を忘れた事なんて無かった。

いつも頭に浮かぶのは莉斗だけ。
たまに姉の事も思い浮かぶが、莉斗に押しつぶされていた。

朝起きれば、親からの暴力、暴言。そして、家事。当然私の分のご飯など無かった。

こんな生活を続けて1年近く立った時、私はもう限界だった。
そしてついに私は最終手段をとった。

「やめて、お母さん。私はあの出来損ないの結香じゃ無い。深月だよ!」

「……!?ごめんなさい。勘違いしていたわ。」

一卵性と言う事を逆手に取って私は姉の振りをした。

私と姉は似ていなかったが、姉の死に立ち直れていない両親は姉だと勘違いをした。

そこから暴力、暴言は無くなったが"愛"を貰える事は無かった。

        ✻    ✻    ✻

今考えれば酷い事なのかも知れない。
それでも、死なないで一生懸命、地に這いつくばる様に生きた時は無駄では無かったのかも知れないとも思う。

心に傷は残るけれど、確かに愛されていた時はあって、私が姉を傷つけた事実もある。
そう考えると、自業自得な気もする。

「きっとこんな事人に言ったって貴方は悪く無いって言って姉の事を悪く言うと思う。
………きっと莉斗もそう思うかも知れない。でも、莉斗だから告白した。」

そして私は小さく微笑んだ。

「……ありがとう。俺に告白してくれて。」

私は小さく首を横に振った。

私はずるい。
莉斗は包み隠さず全て告白してくれたのに私はまだ全て告白をしていない。

私はもう半年もこの世に入れるかわからないのだから。

ごめんね。莉斗。
私はまた君から離れるよ。
でも、私はずっとキミの事が好きだから。

君はとても優しいからこの世から消える事を言ったら嘆いて、消えない方法を調べ、考えるだろう。
それはだめ。
私の事でキミが傷つく事だけは避けたいから。
私の記憶が薄れる(・・・)様に私はキミから離れるよ。

その為に『花の誓い』の事を口に出さなかった。

普通より少し早いかも知れないけれど、もうお別れ。
さようなら莉斗______。
あの後、莉斗と別れた後取り敢えず家に帰った。
一応消えない方法を調べ、探し、考える為に。
この世に私がいる価値が無いのはわかってる。
でも、私は莉斗と一緒に笑い合う未来がある可能性を見つけて見たい。

私は、簡単な荷物(スマホ・充電器・財布・上着・替えの服を1着・個人情報等)を持ち、旅に出た。
幸いお金には困っていなかった為、好きなだけ旅をする時とお金はあった。

        ✻     ✻     ✻

まずは、バスに乗り、新幹線に乗った。
私の目的地は石川県。今は亡き祖母の家がある場所だ。
祖母は物知りで、家に大量の、それこそ本だけで家が出来るのではないかと言う位の本がある。
親が捨てていたら大変だけれども、あの量は面倒くさくてほっといていそうだから。

私は新幹線で眠りについた。

石川県金沢市についた時には昼だった空は闇に飲まれた様に真っ暗だった。

ここから祖母の家までは歩いて30〜40分程かかる。
結構な山奥にあるからだ。
既に21時を回っている。ここから祖母の家へ行くのは少々、いや…だいぶ危ないけれど、宿に泊まろうとも思わない。

祖母の家が埃っぽく無い事を願いながら、私は足を前へ進めた。

        ✻    ✻    ✻

思ったより時間がかかり、着いた時には22時半近かった。
金沢市の駅の方等は明るくわからなかったが、少し上を見上げれば宝石の様に輝く星が1面に広がっており、闇夜によく映えていた。

星は、凄いと思う。
何光年も遠い場所からの輝きが見えているから。実際は今、現在見えている星があるか知る術は無いが。
人間と比べてしまうと星が偉大過ぎて、人間なんてちっぽけな物だと思ってしまう。
今、現在、星が私達に見える所に移動している間に私達は何回死んでいるんだろう。絶対に10回は死んでいるであろう。

祖母の家に久し振りに入ると、少し埃っぽいもののマスクを2重にして、最低限掃除すれば暮らせる程には汚くは無かった。
特に変な香りもせず、カビもそこまでない。
虫は……まぁ外にはいるけど中にはいない。
意外と清潔感があって家の外装は近代的だ。
なぜだろうか。建てられたのは130年前とかそこらへんであるのに。

祖母は、魔法使いだと言われていた。
知識量から技量、言動、動作から言われていた。

……私の瞳や銀髪も祖母譲りで、祖母のかけた呪いとまで言われた事もある。

私が言われる分には構わないが、祖母の事は言われたくなかったのが本音だ。
全てに耳を傾けず、目をそらしてきた私が言える事では無いが。

本当に祖母が魔法使いだったのかはわからないが、魔法使いでもおかしくは無いと私は思う。
私は祖母が大好きでずっと一緒にいた。
一緒にいた時も含めて、祖母は魔法使いでもおかしくは無い。

根拠なんてないけれど。私はいつも思っていた。
気づいて見れば、既に23時を回っていて私は眠りについた。

本は明日見て調べればいい。
こんな考えはすぐに打ち砕かれる。何故ならここは魔法使いと言われていた祖母の家。
私が目覚めた時そこはもう昨日私がいた祖母の家では無い。

私の知らない幻想的な場所だった。
そこは空と地の境界線がなく、水の上に立っているような感覚で不思議な場所だった。

そこに一筋の彗星が走る。
それはとても綺麗で、いつかの約束(・・)を思い出した。

       ✻    ✼    ✻

「約束と言う名の誓いを立てよう。」

今は失われた高く澄んだ声。

「うーん。よくわからないけどぉいいよぉ!」

少しぶりっ子している可愛い声。

「いいよぉ。今日は天気も良いしね。」

今も残っている綺麗な高い声。

この日はクローバーが嫌と言う程映える晴天だった。
この日私達3人は誓いを立てた。

澄んだ声の彼が言う。
ーこの中の誰かが欠けたとしても、必ずここに帰って来て笑い合う事をラナンキュラスに誓うー

可愛い声の彼女が言う。
ー仲違いが起きたとしても信じ合い、手を取り合って絆を深める事をモミジアオイに誓うー

綺麗な声の彼女が言う。
ー何が起こってもこの場所では本来の自分自身で悲しみや歓びを分かち合う事をシンビジウムに誓うー

彼ら3人が言う。
ーこれらを持って我らの誓いとするー

「これで誓い完了!!__簡単だったでしょ?」 

彼は__に尋ねる。


「確かに簡単だったぁ!」

__は彼に応える。


「この誓いは、クローバーへの誓いでいーの?」

__は彼に尋ねる。


「そうだねっ!これは、クローバーへの誓いだっ!クローバーを見たら思い出そーねっ!」

彼は応える。__は儚く、けれど綺麗に笑う。

これは今は失われし尊き昔の話。

この話は何光年、何億光年の一筋の彗星が運び、現代へと蘇る。

       ✻    ✼    ✻

あぁ。私にもこんな時期があったんだ。純粋で、尊き思い出。
長らく忘れていた気がする。花の誓い自体しか覚えていなくて、こんな会話があって、それでいて過程があった事も忘れていた。

私の頬には暖かい涙が伝う。
とても暖かい、温もりのある優しい涙。
私は涙を流している事に気づかなかったが、心が暖かくなった。

私が暫くぼーっとしていると、50メートル程前に綺麗な紫色の水晶が現れた。

水晶の前まで行き、自然と水晶に触れると辺りの景色は急に消え、真っ黒な場所へと変化した。
先程までは水の上に立っているような不思議な感覚だったが、その水の様な物は消え、私は立つことが難しくなった。

そして私は、ゆっくり、ゆっくりと海の底へ行く様に沈んで行った。その時私は、水晶へ手を伸ばしながら沈んで行った。
不思議とそこは本当に海の様になっていてだんだんと私は息苦しくなった。
息苦しくなった直後私はゆっくりと瞳を閉じた。
瞳を開いた時私は元々居た祖母の家に居た。
日付を見てみれば既に2日もたっていて、私は無性に泣きたくなった。
私は泣いた。
一日中、声が枯れるまで。
涙が、枯れるまで。
一日が終わるまで。
私の泣き声や汚い嗚咽が静かな祖母の家に無機質に響いた。私の肌には冷めた風が触れていた。まるで私を責めるように、風の通らない祖母の家にいる私の肌に冷めた風が触れていた。

一日中泣いて落ち着いた私は、予定通り本を探す事にした。祖母の家には巨大な本棚が隠されている事を私だけが知っている。

「確か、祖母の寝室に隠されていた筈…。」

予想通り祖母の寝室にある棚を開くとそこには巨大な本棚が隠されていた。本の数は見るだけでも千冊はゆうに超えている事がわかる。そこから本を管理している機械へ向かい、知りたい本の名前や特徴を検索する。

「これは…魔法?で良いのかな。」

検索してみると置いてある場所は祖母が大切なモノのみを置いている金庫室に置いてあるとでてきた。祖母の金庫室にはパスワードと指紋が必要で限られた人しか出入りが出来ない様になっている。その為、私が入る事ができるかはわからないのだ。

行ってみると案外ぬるっと入る事が出来た。金庫室のパスワードはその人の生年月日と指紋。それで開くことが出来る。まさか開くとは思ってないで少し驚いたが感謝して入った。
そこには祖母の大切にしていたものが沢山詰まっていた。そして、中心に色葉が座って待っていた。

「久しぶり。ここまで辿り着いたみたいだね。」

寂しそうに色葉は微笑む。

「なんでここにいるの?」

私の問いに色葉はきちんと答えてくれた。

「頼まれたの。私が死んだ後にあの子必ずここへくる。だから来た時にこの本を渡してくれってね。」

色葉は本を持って私へ渡した。そしてまた、消えた。
あぁ、祖母はわかってたんだ。私の気持ちも行動も何もかも。それが嬉しくて、悲しくて、私の瞳にはまた、温かいもので溢れた。
それを零れないよう頑張って、頑張って。
私は本を読んで見ることにした。

"親愛なる結香へ"

「きっとお前さんは追い詰められて追い詰められてここに来たんだろう?
わかるさ。私にはね。
何が嬉しくてお前さんはは頑張ってるんだい?
何が生き甲斐でなんの為にお前さんは、そんなに頑張ってるんだい。私はね、お前さんを見る度に、考える度に悲しくなるよ。昔はね。お前は、幸せそうだったじゃないか。」

「なのに、なのに、何がどうしてそんなに追い詰められてしまってるんだい!」

その一文を読んだとき、私は祖母に怒られた気がした。何年か前に亡くなった祖母に面と向かって怒られた気が、した。
いつの間にか窓が空いていて、季節を感じさせる風が吹いていた。
「私はね、お前さんに幸せになって欲しいんだよ。正直に言うとねぇ、深月なんて私にとってはどうでもいいんだよ。結香、お前さんが幸せになってくれればね。お前さんは本当はね、あの子の娘として、深月の双子の妹として産まれる筈じゃあなかったんだ。それなのに……それなのに……。」

長い長い空白の後に一言祖母は書いていた。

「………お前さんが深月を求めたんだ。深月がお前さんを、結香を求めたんだよ。」

その言葉に私は胸が締め付けられた。

「本当は教えるべきではないかも知れないが、私はもう死んでいる。ここに書き留めなかったら何もわからなくなってしまうから。だから、思い詰めないでおくれ。」

「話を変える。真面目な話だ。
結香は消えない方法を求めてここまで来たんだろう?正直に言おう。お前さんが消えない方法など無い。色葉はまだ少し未熟だ。一人前であったならお前さんが消えなくても良い方法があったかも知れない。でも、完全ではなかったその"魔法"は完成する事も崩壊する事も無い。ずっと、ずぅっとお前さんに残り続ける。だからな、奇跡が起こるのなら、その"魔法"は消えるかもしれない。けれどお前さんの気持ちが強すぎる。"消えたい"と言う気持ちが強すぎるんだよ。私にとってはお前さんが消えても消えなくてもどっちでもいい。本当にどっちでもいいんだ。なぜなら私はお前さんが幸せなら何でもいいからだ。お前さんが消える事が幸せなら私は止めもしない。応援はしないかもしれないが。私はいつでも結香の中にいるからね。大変なとき、辛いとき、嬉しいときでもなんでも共有できる。だから、結香。残りの人生を楽しんでおいで。」

"結香を愛する祖母より。"

祖母はこんなにも私を気遣って、愛してくれていた。なのに私は何も祖母に何もできなかった。今さら後悔しても遅いのに、祖母になにか返したかったな。と今更ながらに思う。
祖母の本…いや、祖母の言葉に押された私の心には爽やかな風が吹いていた。