依頼を片付け、無事家に帰ってきた凰雅。
「おかえりなさい、お兄ちゃん。」
妹が物々しいマスク越しのくぐもった声で出迎えてくれた。凰雅がいつ帰ってくるかわからないため妹は家でこそマスクを外せないのだ。
鞄を置きに自室に向かうと
「ん?この匂いは・・・。」
部屋に入った凰雅は部屋にある匂いが充満していることに気づいた。
それは最早嗅ぎなれてしまった妹の匂い。特に布団からだ。
凰雅は心の底から、全くやれやれだ、と思った。
「部屋を掃除してくれたようだな。助かる。だが何故マスクを外したんだ?」
「え!?」
妹は凰雅のその言葉を聞いて狼狽えた。こんな態度では図星だと言っているようなものだ。
「・・・た、確かに掃除はしましたけど、なんでマスクを外したなんてわかるんですか?」
「わかるさ。愛する妹のことだからな。大方、俺の布団の匂いを直に嗅いだんだろう?」
凰雅は部屋から漂う、嗅ぎなれた酸っぱい匂いをヒントに鋭く言い当てた。
するとそれを察したようで妹はバツが悪そうにした。
「ご、ごめんなさい。ちゃんと洗ったつもりだったんですが・・・。」
「やれやれ。あまり妹に愛されるのも考え物だな。少しは兄離れをした方がいい。」
「・・・するつもりはありません。」
「やれやれ、本当に困った妹だ。」
その日の夜、凰雅はレペティションに明け暮れた。
世界の命運をかけた事件が起ころうとも、妹が自分の留守中に布団で何をしていようとも、どんなことがあっても凰雅は日常を変えない。
事件すらも日常に変えてしまう男、それが学芸院凰雅。
こうして学芸院凰雅の華麗なる日常は続いてゆく。
「おかえりなさい、お兄ちゃん。」
妹が物々しいマスク越しのくぐもった声で出迎えてくれた。凰雅がいつ帰ってくるかわからないため妹は家でこそマスクを外せないのだ。
鞄を置きに自室に向かうと
「ん?この匂いは・・・。」
部屋に入った凰雅は部屋にある匂いが充満していることに気づいた。
それは最早嗅ぎなれてしまった妹の匂い。特に布団からだ。
凰雅は心の底から、全くやれやれだ、と思った。
「部屋を掃除してくれたようだな。助かる。だが何故マスクを外したんだ?」
「え!?」
妹は凰雅のその言葉を聞いて狼狽えた。こんな態度では図星だと言っているようなものだ。
「・・・た、確かに掃除はしましたけど、なんでマスクを外したなんてわかるんですか?」
「わかるさ。愛する妹のことだからな。大方、俺の布団の匂いを直に嗅いだんだろう?」
凰雅は部屋から漂う、嗅ぎなれた酸っぱい匂いをヒントに鋭く言い当てた。
するとそれを察したようで妹はバツが悪そうにした。
「ご、ごめんなさい。ちゃんと洗ったつもりだったんですが・・・。」
「やれやれ。あまり妹に愛されるのも考え物だな。少しは兄離れをした方がいい。」
「・・・するつもりはありません。」
「やれやれ、本当に困った妹だ。」
その日の夜、凰雅はレペティションに明け暮れた。
世界の命運をかけた事件が起ころうとも、妹が自分の留守中に布団で何をしていようとも、どんなことがあっても凰雅は日常を変えない。
事件すらも日常に変えてしまう男、それが学芸院凰雅。
こうして学芸院凰雅の華麗なる日常は続いてゆく。