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 そんなキリタニさんと私は、何かの縁で繋がっていたのかもしれない。まさか同じ会社の人だったなんて思いもしなかった。
 それは相手も同じ思いだったようで、2度目の再会にすごく驚いている。
 ただ、昨日と違う点がひとつあった。
 私に対する態度だ。

 物腰も柔らかで、口調も堅苦しくない。
 昨日の、どこか拒絶に近かったよそよそしいあの空気は、今日は微塵も感じなかった。

 そんな彼の態度に、ちょっと嬉しくなる。
 あまつさえ、夕飯にまで誘ってくれた。
 お礼じゃなくて一緒にご飯、という理由付けをしてくれたのも、何だか嬉しくてくすぐったい。

 特別に、行きつけのお店でもご紹介しようかな。
 そんな浮かれ気分で歩いていた私に、マーケの先輩達が群がってくる。

「ミズキチちゃんおはよー」
「おはようございます」
「ね、今桐谷くんと一緒にいた?」
「はい」

 1年前、私が入社した会社。
 アジュールは、絵画商材を中心に事業を展開させている企業だ。

 大まかに言うと営業、マーケティング、人事部門があって、私はそのマーケ部門。今でこそマーケティング、という名称に変わったけれど、数年前までは総合事務という名で、社員も女性が大半を占めていた。

 逆に営業は男性社員ばかり、という訳ではなく、近年は女性社員もかなり増えている。
 そしてキリタニさんは、営業二課の担当社員。
 さっきエレベーターで聞いたのです。