「こちらこそ。また明後日、会社で」
「はい」
「ちゃんと鍵閉めろよ」
「……はい」
「……」
「……」

 なんとなく、互いに見つめ合う。
 まだ掛けるべき言葉があるんじゃないかと思案していた時、水森は急に身を翻した。

「ちょっとだけ、待っててください」
「え」

 俺の返事も待たず、彼女は部屋の扉を開ける。
 そして奥へと消えて行った。
 訳もわからず待っていれば、カシャン、と鈍い音が部屋の奥から聞こえてくる。それはどこかで聞いたことがあるような、無機質な音だった。

 何の音だったかと首を捻っていたら、水森は小走りで玄関先へと戻ってくる。腕に、何かを抱えながら。
 その何かに視線を落とせば、2匹の小動物が彼女の腕に抱えられていた。

「……水森、それって」
「私のペットです」

 そう言って彼女が俺に見せてくれたのは、茶色い毛並みで覆われた、耳がペタンとしな垂れているウサギだった。
 そして傍らには、白と黒の毛が入り混じった謎の生き物。長い毛並みで覆われていて、顔がどこにあって尻尾がどこなのかもわからない。
 わからないが、確実にウサギではない。

「……モップ?」
「モップじゃないです。ウサギのウサ子と、モルモットのモル男です」
「……そのまんまだな」
「そのまんまです」