「多分、もう気付いてたと思うけど」
「……」
「俺、水森のこと好きだから」
「……はい」
「やっぱり気付いてた?」
「……先日から、なんとなく」
「俺わかりやすかったよな」
「……あの、いつ頃から」

 水森が気まずそうに問いかけてくる。
 手を離せば、空気が和らいだ気がした。
 さっきまで緊張で強張っていた体は、ずっと秘めていた想いを口にしたことで抜けきった気がする。心も軽くなったように感じた。
 あとはもう、溢れてくる想いを口に乗せるだけだ。

「わりと、最初から」
「……最初から」
「うん。出会った時から、俺結構、水森のこと気に入ってて」
「……」
「ちゃんと自覚したのは最近だけど、本気だから」
「……はい」
「だから、付き合いたい。返事、考えておいて」
「……」

 彼女は素直に頷かない。
 やっぱり突然すぎたか、考える時間をあげた方がいいのかと思ってそう告げたけど、水森は無言のまま俯いている。首を縦に振る気配もない。
 内心焦る俺に、けれど彼女は意を決したように顔を上げた。

「か、考えるまでもないです」
「……え」
「私も、好きです。キリタニさんのこと、好きでした」
「……」
「私もお付き合いしたい……です」