勝手に興醒めされて、一方的にフラれて。
そんな事を繰り返されたら、水森が恋愛に臆病になるのもわかる気はする……けど。
「……思ってない」
「……?」
「ガキっぽいとか思ってねーから」
俺も、そういう奴らと同じだと。
少なからずそう思われていた事に、少し傷ついたけど。
それでも、彼女が過去に受けた痛みを知ってしまったら責めることなんてできなくて。
それに。
男に媚売ってキャラを作る女より、素直に食に走っていく水森の方が普通に可愛いと思うし。そんだけ。
「腹減って限界。行こ」
「あ……はい」
戸惑いに揺れている水森の手を、もう一度握り締める。
入り口に向かって歩いていく途中で覗き見した彼女は、少し俯き加減で。
でもその表情は嬉しそうに微笑んでいる、ように見えた。