「悪い。明日付き合ってやるから。今日は春樹に遊んでもらえ」
「春は友達と遊びに行った……」
「いい子で留守番してろ。帰りにプリン買ってきてやるから」
「ビッグサイズを所望する」
「はいはい」
単純な約束を取り付ければ、単純なもかはすぐに離れていく。まだ機嫌がいいとは言えないが、とりあえず納得はしてくれたようだ。
「郁兄はデートだし、春くんは友達と遊ぶし、私はお家でぼっちだし。はー、つらたん」
「……」
……そうか。デート、か。
・・・
職場から遠くない1LDKのマンションに、水森は一人暮らしをしている。
俺の自宅から彼女のマンションまでは、車で10分ほどの距離だ。ご飯会の帰りに、彼女をマンションまで送り届けることも多い。
迎えに行く途中でコンビニに寄り、日経新聞を購入した。
株投資家にとってこの新聞こそ、日常に無くては困る大事な情報源だ。きっと水森も同じことを言うだろう。
ついでだから、お菓子もいくつか買っておく。
全て水森の好きなものばかり。
……多分、すぐ消化されると思うけど。