「……なんで?」
「私、見た目も中身も子供っぽいから。『ガキっぽくて、一緒にいて疲れる』って言われて」
「……」
「実際、そうなんだと思います」
「……そんなことないだろ。俺なら、」
「え?」
「……いや、なんでもない。急かしすぎた」
「え……あ、はい……」

 それきり水森は口を閉ざしてしまい、手元のグラスに視線を落とす。
 俺もそれ以上何も言えないまま、再び沈黙が訪れた。

 水森は鋭いし、頭の回転も速い。恋愛に関しても、きっと鈍い方ではない。俺の、さっきの微妙な言い回しやこの空気に、何か思うところはあるはずだ。

 彼女にとって、俺はどういう存在なんだろう。
 ただのご飯仲間なんだろうか。
 そうだったとしても、俺はもう、それ以上を望んでいるから。

「水森」
「は、はい」
「今週末、空いてる?」
「へ」
「どこか出掛けないか? 2人で」
「え……」

 パッと俺を見上げた水森の表情は、あまり変わり映えしていないように見える。
 それでも頬がほんのりと染まっている事に、不謹慎にも嬉しくなった。