感嘆の息を漏らす水森に、苦笑いを浮かべる。
 結果的に大きな実績は残せたけれど、それでもまだ、ひとつだけだ。俺達の目的までは果てしなく遠い。
 けど、水森の持つ情報を活かせば成果を出せることを証明できた事は大きな一歩だ。

 こうして彼女とご飯仲間になって、互いに色々な話をした。仕事の話だけじゃない、他にも趣味や家族、学生時代の頃の話も。
 中でも趣味に関しては、俺が水森だけにしか話せない話題がひとつだけある。

「そういえば水森、今日のでプラ転したんじゃないか?」

 そう尋ねれば、急に彼女の瞳が輝きだした。

「はい。何回か小分けにして買ってたから、マイナスのものもありますが。トータルで言えばプラスです」
「へえ。やったじゃん」
「キリタニさんは?」
「俺も一応プラス。頭ひとつ飛び出た程度だけど」
「では、互いのポートフォリオプラ転に乾杯ですね」
「ウーロンだけどな」

 カチン、とグラスをぶつけ合う。
 水森は相変わらずの無表情で、でもどこか、穏やかな顔つきにも見えた。