「会社ってやっぱり、結果ありきだから。キッカケを作りたいなら、数字で示すのが一番早いよ」
「……そんなに、簡単にいくでしょうか」
「簡単、じゃないと思う。下手したら数年かかるかもしれないし、一生かかっても出来ないかもしれない。でも、初めから無理だって決め付けて動かなかったら、一生無理なままだから」
「……」

 彼女は俯き加減のまま動かない。
 缶を握りしめる手に、力が篭る。

「……怒らないんですか?」
「なんで?」
「なんだか私、自分の目的の為にキリタニさんを利用してるみたいです」

 淡々と告げる横顔は不安そうに見えた。
 それだけ彼女の中で葛藤も多かったんだろう。

 俺と同じ社員とはいえ、3日前まで話したこともなかった。
 互いの存在すら知らなかった。
 出会ってまだ日の浅い俺達の間に、信頼関係と呼べるものなんてほぼ皆無に等しい。俺を面倒事に巻き込みたくないという罪悪感も、水森の中にはあったのかもしれない。

 そんな迷いの果てに賭けに出たんだろう。
 なら、応えるしかない。

「いいよ、利用でもなんでも」
「……でも」
「その代わり、水森の持ってる情報を俺に教えて。俺も全力で結果出すから」
「……」
「やってみて駄目だったら、その時にまた考えればいい」