無情にもそう告げて、春樹の手がもかの首根っこ掴む。そのままズルズルと引っ張りながら、2人でリビングを出ていった。 随分ともかの扱いが上手くなったな、と感心しながら見送った直後。 「嘘ついたああぁ!」 悲痛な叫び声が聞こえてきた。 階段でぎゃあぎゃあ喚く声を背に、手元のファイルに視線を落とす。一通り目は通したし、水森にとっては大事なファイルだろうから、早めに返却した方がいいだろう。 そう思う反面。 俺はどうしても、気がかりなことがあった。