『甘ったれた理想では成功できない』
あのキャッチセールスから伝わってくる、強いメッセージ力。
難易度の高い仕事に挑戦して、成功を得たい。そんな志の高い人間がアジュールに集まっていると文面から悟った時、全身の血が熱くなるような昂りを覚えた。
……なんだ。
水森も俺も、同じ理由か。
「……はは」
乾いた笑みが零れた。
突然笑い出した俺に、彼女は訝しげな視線を送ってくる。
「私、変なこと言いましたか?」
「いや。かっこいいなとは思ったよ」
「かっこいい、ですか」
本人はあまり嬉しくない様子だった。
そりゃそうか。女の子が男に「格好いい」なんて言われても、嬉しくはないよな。
でも、正直な感想だ。
考え方も発言も男前で、頭の回転が速い上にボジティブだ。男の前で媚びる事もなく、はっきりと自分の意見を言えるのもすごいと思う。
それに比べて、俺の腐りようは何だ。
毎日がつまらないなんて言ってる場合じゃないだろ。
だから思った。
もっと、この子と話がしてみたい。
仕事に対する姿勢、内容、考え方。話題を挙げたらキリがないけれど、きっと全部楽しいんだろう。
……うん。
水森と話すのは、楽しい。