私はきっと無表情のままだろうけど、本当はとても楽しくて仕方ない。
 キリタニさんの話に食いついて、頷いて、また話を振って。どれだけ話しても、会話が途切れることが無い。彼の言葉や表情ひとつに、一喜一憂してる自分がいる。

 心がふわふわと舞っているような夢心地。
 興奮でざわついていた鼓動にひとつ、甘やかな鼓動が混じる。
 芽生えたばかりの感情が胸を満たしていく瞬間を、私は確かに感じていた。



(了)