「どうせ兄貴のことだ。紫織とのトシの差のことも未だに気にしてんだろ? 紫織はそんなもん、ちっとも気にしちゃいねえってのに」

「ん? 俺が気にしてるように見えたか?」

「俺はそこまで鈍感じゃねえよ」

「そうか」

 朋也の指摘に宏樹は短く答え、朋也に倣うように肉じゃがの肉を口に入れた。

「で、紫織の友達絡みの話って?」

 不意を衝いて、宏樹が話題転換をしてきた。

「今日は俺の話を聴くために来たわけじゃないだろ?」

 確かに宏樹の言う通りだ。
 だが、いざとなるとやはり切り出しづらい。
 それ以前に、上手く頭の中で内容を整理出来ずにいる。

 どうしたものかと考え込んでいたら、焼き鳥の盛り合わせが運ばれてきた。
 素材によって味付けを変えているのか、塩とタレの二種類が違う皿に盛られている。

「焼き鳥は熱いうちに食うのが礼儀っつうもんだろ」

 適当なことを言って話題を逸らした朋也は、早速塩の焼き鳥に手を伸ばす。
 何だろうと思いながら口に入れてみたら、モツだった。

「モツの焼き鳥なんて初めて食う! うめえよ!」

 焼き鳥に無邪気に喜ぶ朋也を前に、宏樹は微苦笑を浮かべている。
 だが、話を急かすわけでもなく、宏樹もまた、塩の皿からレバーの串を一本取り、ゆったりと口に運んでは噛み締める。